香港赴任日記

香港赴任日記

初めての海外赴任で起きたこと、思ったことなんでも

2022年 香港の旧正月(春節)を経験-①利是の準備・渡し方

2022年の年明けから規制が続く香港、あまりにも暇なのにブログの更新をさぼっていました。毎日島づくりに精を出しています。(あつまれどうぶつの森)

 

さて、2021年夏に香港に渡航してから約半年間、もちろん日本との違いは多々あれどそこまで著しい文化の違いを感じることはありませんでした。

が、旧正月は、日本のお正月とは日付も文化も何もかもが異なりまったくもって知らないことだらけだったのでまとめてみたいと思います。

ちまちまと感じた文化の違いは過去記事。

www.narufj.com

旧正月や利是についてはいろんなところでいろんな内容がまとめられていると思いますので、事前に調べていたけど分からなかったことなど中心にまとめてみたいと思います。

 

 

はじめに

旧正月とは

旧正月とは旧暦の正月のことをいい香港以外では中国や台湾でも盛大にお祝いされているようです。

色々なサイトに情報が載っていると思いますし、旧暦というのがそもそも何だか知らないので詳細は省きますが笑、毎年1年間の日数が異なる仕組みになっているようで、旧正月も毎年日にちがズレます。

時期的には大体1月下旬~2月中旬頃までの間で、2022年の旧正月は2月1日でした。

 

ちなみに夫の会社では旧正月の前日1月31日(月)はearly releaseという全員が16:00頃に早上がりできる日になっており、2月1日(火)~2月3日(木)までがお休みでした。

夫の会社の人曰く「うちの会社は他の会社と比べて休みが少ない!!」らしく、1月31日(月)~2月4日(金)までお休みで土日を含めると九連休になるような会社もあるようです。

連休が会社によるというのも日本と同じなんですね…。

 

なお1月1日はそこまで盛大に祝われることはなく、お休みも長くはありません。

日系企業であれば会社によって三が日はお休みのところもあると思いますが、お店は普通に営業しているしお正月飾りがあるわけでもないのでお正月気分はまったく味わえずに終了しました。

気分的に確かお餅を食べたかな…?

 

ですがカウントダウンは盛り上がるようで、毎年ビクトリアハーバーで超盛大な花火が上がっていたもよう。

コロナ禍になってからはずっと中止が続いているとのことですが、今年はどうにか復活してくれると良いなぁ~…。

でも一応、去年の大晦日にディズニーランドホテルに宿泊した際には小さいながらもカウントダウンイベントがありました!www.narufj.com

旧正月がメインではあるけどカウントダウンもしっかり祝うのって、2回年越しするみたいでなんだか不思議な感じがします。

 

利是とは

旧正月の文化の中で一番戸惑ったのは、利是(ライシー)というお年玉のようなもの

日本のお年玉と違うのは子供にだけあげるものではなく、大人が大人に渡すこともあるという点。

基本は既婚の人が未婚の親しい人へ渡すもののようですが、自身が未婚でも・相手が既婚でも、上司から部下へ・お世話になっている人へ・常連の客がお店のスタッフへ・マンションではスタッフや清掃員へ…

などなど、人によってはとにかく遭遇した知り合いには全員に渡すくらいの勢いで、月の給料のほとんどを利是に費やすような人もいるんだとか。

とはいっても金額の単価は安く、20HKD~100HKDが相場

一番お世話になった人で100HKD、マンションスタッフなどには20HKDといった感じで関係性によって金額を変えるのが普通のよう。

香港人の方はこの利是の文化を大事にしていて、利是をもらえたか・金額はどれくらいかによってそれからの働き方や態度までが変わるらしいという噂も…。

とはいえマンションなんて住民もスタッフも多すぎるからいちいち誰にもらったか覚えていないだろうし、そういうところまで気にする必要があるのは会社とか顔が知れてる常連のお店とかくらいかもしれませんね。

 

利是の準備

利是は新札を利是封という赤いポチ袋のようなものに入れて渡す必要がありますので、それぞれ準備が必要です。

知った情報を全部詰め込んだら長くなってしまったので先に簡単にまとめておくと、

①利是封はサイズが決まっている!

お札を曲げずに入れられる大きいサイズが100HKD用、折り曲げて入れる小さいサイズは50HKD,20HKD用。用途に合わせて大1種類・小2種類用意しておくのが吉。

②新札は銀行で両替が必要。

この時期は混雑するので旧正月の1週間前くらいには用意しておくのが吉。銀行によっては両替の最低料金があるため、現金は多めに5,000HKDくらい+袋はもらえないので持ち帰る用の封筒を持って行っておくと安心!

てな感じです。

 

それぞれの詳細は以下のとおり。

 

①利是封

【サイズ】

利是封を用意するときのポイントはまずサイズです。

お札を折り曲げずに入れられる長方形のものと、半分に折って入れる正方形のもの(同じくらいのサイズで長方形もあり)があります。

香港の旧正月(春節) 利是封

この折り曲げずに入れられる大きいほうが100HKD用、それより小さいお札は半分に折るサイズを使用するそうです。

つまり50HKDと20HKDは同じサイズの利是封に入れることになるので、どれにどちらのお札を入れたか分からなくならないように少なくとも大きい物1種類・小さいもの2種類用意しておくと良さそうです。

※とはいえ我々には50HKDを配るような中途半端(?)な相手がいなかったので、結局大小1種類しか使いませんでした。

 

【柄】

柄は本当にいろんな種類がありますが、縁起が良いとされる真っ赤な袋というのはどれも同じなので好みの物を選んで問題ありません。

でもどれも大体装飾が金色なので、赤地に金で相当派手。だから好みも何もないかもしれません。笑

福と書いてあったり健康を願うというような意味の字が書いてあったり、その年の干支が書いてあったり。

私も本当は日本のポチ袋みたいに可愛い!と思えるものを買いたいなーと思っていたのでせめてトラが書いてあるやつにしようかなーと思ったのですが…余ったら来年も使えるように干支が書いてあるものは買いませんでした。

購入する場合の価格は大体10枚入りで10~20HKDとそこまで高くないから買っても良かったんですけどね…!

 

【入手方法】

利是封は、旧正月が近づくといろんなお店に並びますし、利是袋専用の臨時店舗のようなお店もたくさん開くので買う場所に困ることはないと思います。日系スーパーである黄埔のイオンにも売っていました!

買う以外でも、銀行やホテル、スタバなんかでもお願いするともらえるところもあるんだとか。

そういったオリジナルの利是袋は結構凝ってる可愛いものが多くて、本当はどこかでもらってみたかったんですが勇気が出ず…。

 

また、お願いしなくてももらえるパターンもあります。会社やマンションで配られるのです。「ちゃんと利是渡せよ」という圧を感じます。

とはいえ会社ごと、マンションごとに対応は異なるようで、私が住んでいる紅磡のマンションHarbourfront Horizonでは特に配られませんでしたし、詳細は後述しますが利是をガンガンもらいにくるようなスタッフさんは居ませんでした。

夫の会社からはHSBCの利是袋(しかも100HKD札用)が何枚も配られました。圧力……!!

 

②新札の準備

利是はお年玉同様ピン札を入れる必要がありますので、旧正月前は新札を求めて銀行には行列ができるんだとか。

行列をどうしても避けたかった私たちは、少し早めに旧正月の10日ほど前である1月22日(土)の朝一番に銀行に向かいました。

利用したのは黄埔(Whampoa/ウォンポー)にある香港上海銀行HSBC。イオンの近くにある店舗です。

香港の旧正月(春節)

我々が行った日は旧正月である2月1日から10日ほど前の土曜日の8:45頃。

9:00から営業開始だったので15分も前に行けば余裕だろうと思ったら、意外と既に3人くらい並んでいてビックリ!

香港の旧正月(春節)

営業開始直前にはさらに後ろに10人ほど並んでいましたが、赤矢印で示したとおりきちんと並ぶ印があるので抜かされる心配はありません。笑

並んで少し待っているとスタッフさんが出てきて、「両替か?」と聞かれるのでそうだと答えるとこんな感じの紙を渡してくれました。

香港の旧正月(春節)

ここで衝撃!!

20HKDと50HKDは指定のパックのみ!!

こんなにたくさん両替するつもりがなかったので用意しておいたのが3,000HKDだけで、これだけじゃ100HKD札分が足りない…!と慌ててお財布の中のお金をかき集めたらどうにか1,000HKDが集まったので、20HKD・50HKDのパッケージそれぞれ1つと100HKDを1,000HKD分両替しました。

結果的に足りたから良かったけど、あとから100HKD札だけまた追加で両替に来るハメに…みたいなことにならないために、両替に行く際は5,000HKDくらいの現金を用意しておくと安心だと思います。

 

ちなみにこの紙の書き方はちょっと忘れてしまったんですけど…笑

確かそれぞれの金額の右側の項目に必要な合計額を書いたような気がします。

なので100HKDのところには1,000、50HKDのところには2,000、20HKDのところには1,000と記載。多分…。笑

香港の旧正月(春節)

合計4,000HKD分を両替したのがこちらー!

めちゃめちゃ分厚い。お金持ちになった気分です。

これ、日本の銀行みたいに封筒とかはもらえなかったので、曲がらずに持って帰れるように封筒やポーチなんかを持ってくるのが良さそうです。

(本当は持ち帰る用の封筒も、なんならHSBCの利是封もお願いしたらもらえたのかもしれないけど…勇気が無くてもらえませんでした…)

 

この日は両替用のカウンターが5つくらい開いていたので、3番目に並べていた私たちは営業開始と同時にカウンターに案内してもらえて5分もかからずに両替終了。

その後並んでいた人達もスタッフさんに案内されてそれぞれのカウンターに並んでいましたが、我々が帰る9:05くらいであれば各カウンターに5,6人並んでいる程度だったので朝早めに行けば何時間待ち、みたいなことにはならなそうです。

 

利是の渡し方

利是はお世話になった人に自発的に渡す他、「恭喜發財」(ゴンヘイファッチョイ)と言われたら渡しましょうというルールがあるようです。

「恭喜發財」(ゴンヘイファッチョイ)というのは今年も儲かりますように~というような意味らしいですが、これを言われたら渡さなきゃいけないなんてさすが香港という感じがしますね。

渡すときも「恭喜發財」(ゴンヘイファッチョイ)と言いながら渡せばOK。

渡すときの言葉は他にも、明けましておめでとうとか、健康でありますようにとか願い事が叶いますようにとか、色んな種類があるみたいなのですがどうしても覚えられなかったので我々はこれ一つで乗り切りました。笑

 

初めて渡すときは発音が合ってるかなとか、本当に渡して良いのか?!とか不安になってまごついてしまいましたが、恥ずかしがらずに「恭喜發財」(ゴンヘイファッチョイ)と言いながら赤い封筒を差し出せば喜んでもらえます!!

ちなみに日本では封筒に入れる時にお金の向きなんかを気を付けなければならないと思いますが、そういう決まりはないそう。

渡すときも両手片手等のルールはなく、とにかく渡すことが大事なんですね。

 

そして私の中でスッポリ抜けている知識が、利是を渡す枚数です。

知り合いのお子さんに渡す場合や、夫婦そろって関係性がある場合には20HKDを入れた利是袋を2枚渡す必要があるんだとか…?

我々は子供のいる知り合いもおらず、夫婦でお世話になっているのは香港人の方ではなかったので結局その辺のルールはいまいちよく分からないまま終わってしまいました。

ので、ここにはその辺りの詳しい情報は書けませぬのでご了承ください。。

 

利是の疑問

利是を配るにあたって事前の情報収集では結局よくわからなかった個人的な疑問が、旧正月を過ごしてようやく解決したのでまとめておきたいと思います。 

実際どのくらい渡すの?!

初の旧正月を経験したアラサー夫婦のリアル

結論から書くと、我々夫婦が初めての旧正月で渡した利是は約400HKDでした。

もっともっとばらまくことになるかと思っていたので、想定外。

とはいえ後述しますが、会社での立場や年齢にも寄りますし、渡そうと思えばいくらでも渡せるのでアラサー夫婦が必要最低限に抑えた結果という感じでした。

 

実際にどういうときに渡したかというと、夫は平社員なので会社で渡すことはないかなーと思っていたのが、昨年末頃に急にマネージャー的なポジションになり(給料は変わらないのに)年上の部下が3人できてしまったので渡す羽目に。。

年上の方にお金を渡すなんて逆に失礼にならないのか?と思いつつもそれぞれ100HKDずつ渡していました。

代わりに夫は社長に利是をもらっていましたが、中身は20HKD。

社長ともなれば社員全員に配ることも考えるとさすがに100HKDは無いか…とちょっとガッカリしつつも、なんだかもらえると嬉しいものだなと思いました。(私がもらったわけじゃないけど)

 

専業素主婦の私には会社はもちろん行きつけのお店なんかもないので、マンションのスタッフとすれ違ったときや、マンションから出るシャトルバスを利用したときに運転手に渡したくらい。これはそれぞれ20HKDを渡しました。

我々は英語も広東語もできない恥ずかしがり屋(?)な典型的日本人なので、マンション敷地内を歩いているともっとたくさんのスタッフを見かけはしたのですが、わざわざその人のところまで出向いて渡す勇気がなく…結局渡せたのは4人ほど。

旧正月が始まる前にいろんな方のブログで情報収集していたところ、「旧正月の時期は変にマンションスタッフや清掃員が増える気がする」なんて書いている方もいたので、夫と「スタッフの顔覚えてられないから、同じ人に何回も配ることになっちゃうかもね~」なんて笑っていましたが完全に杞憂でした。

 

そもそもなぜこんなに渡す人が少なかったかというと、利是は自発的に渡しても良いけれど、前述の渡し方のとおり「恭喜發財」(ゴンヘイファッチョイ)と言われたら渡しましょうというルール(?)があるというブログ記事をどこかで読んでいたから。

なので我々も基本的には「恭喜發財」と言われたら渡そう!と思っていたら、マンションのスタッフはすれ違っても誰も何も言ってこない…!

ふと見かけた方が自分からスタッフに「恭喜發財」と言ってスマートに渡していたのを見て、カッコイイ…そしてああやって渡せば良いのか!と学び、

せっかく準備したし、と、私たちも近くにスタッフがいたときや、マンションのシャトルバスを利用した時に自発的に渡すようにした結果が4人でした。笑

このマンションは外国人が多いためか、結局あまり渡している人を見かけませんでした。

その分我々が利是をお渡しすると皆さんビックリしながら嬉しそうに受け取ってくださり「恭喜發財!」とにこやかに言ってくださるので、なんだか自分まで嬉しい気持ちになりました。

 

街で見かけた香港人のリアル

そんなこんなで結局数人にしか利是を渡せなかった我々ですが、香港で利是の文化が廃れているのかというとそういうことでは全くなく、やはり香港人の方であればそうもいかないようで、レストランなどでは常連客がお店の方に利是を渡しているところも見かけました。

 

そんな中でも旧正月の時期に街を歩いていて一番の衝撃は、とある寺院に観光がてら立ち寄ったときのこと。

入口前に行列ができており、日本でいう初詣みたいに旧正月の時期にみんな寺院にお参りに行くから混んでるのかなー?と思いきや、どうやらその行列の人たちは中に入ろうとしているわけではない。

なんだろう…?と思いつつも寺院の中を少し見学して出てきたとき、同じタイミングで寺院から出てきた参拝者の中で一人、真っ赤なコートを着たおばさまがなんと、その行列の人たちに利是を配り始めたのです…!!

入口のところから行列の一番最後尾まで、流れ作業のように利是を渡しながら闊歩するおばさま。

ありがたそうにそれを受け取っていく行列の人たち。

異様な光景過ぎてガン見しちゃったんですが、香港ではあるあるなのか、利是を配らない人も特に気にしない様子で通り過ぎて行っていました。

 

香港には日本と変わらずホームレスの方もいますが、その寺院の前に並んでいた人たちは身なりも普通(といったら失礼かもしれませんが)で、年齢層は高いものの男女問わず様々な人たちが並んでいたので、どういった人がどういう心持ちであそこで待っていたのかは謎のまま…。

どんなブログや記事を読んでも利是はお世話になっている人たちに渡すものと書いてあるのでそう認識していたのですが、人によっては見も知らぬであろう人たちに配ることもあるのですね。

徳を積むという言葉で合っているのかはわかりませんが、この旧正月の時期に良い行いをすることでより良い1年になる願掛けみたいなものなのかなーと勝手に想像しました。

 

いやはやでも、中身が20HKDだったとしても10人に配れば約3,000円…。あの調子だとあそこの寺院だけじゃなくていろんなところであの勢いで配っているんだろうから一体ぜんたい合計いくらなのか…。そんな量だと用意するのも大変だろうからお手伝いさんが両替から封筒に入れるところまでやってるのかな…。

なんて妄想しましたが、きっとこんなみみっちいことを考えないお金持ちだからやってるんですよね~…。

 

実際いつまで渡すの?!

なかなか調べても書いていなかったのが、利是はいつまで渡すのか?!

基本的なルールとしては、旧正月の元旦から15日以内に渡せば良いとされているのですが、15日間利是封を持ち歩かなければならないのか…と思っていましたがやはり実際にはそんなことはなく。

結局我々が配ったのは、夫の会社が旧正月休みだった3日間(今年は2月1日~3日)とお休み開けに夫が会社の部下に配っただけでした。

配りたい相手がいる場合には15日以内に配りましょうというだけで、実際に渡すのは最初の数日間で終わるのが駐在員的にはリアルなのかなと思います。

 

とはいえ前述の通り我々の住まいではそもそも利是を待っているようなホテルスタッフも少なく、夫の会社以外で香港人の知り合いも居なければ特に常連になっているお店もなかったので本当に数日で終わりましたが。

例えばお子さんがいてママ友仲間がいる…とか、会社外で家族ぐるみで付き合いがあるような人がいれば、バッタリ遭遇したときに渡さなきゃーだったり状況によっては配る必要が出て来るかもしれませんので、念のため15日間は20HKDの利是封を数枚は持ち歩いておくと安心かと思います!

 

 

というわけで利是についてまとめてみましたが、自分が経験したことばかりを書いたので何か基本的な情報がスッポリ抜けているところがあるかもしれません…。

 

 

本当はこの記事に旧正月の街中の様子なんかも書こうと思っていたのですが、例によってめちゃめちゃ長くなってしまったので分けたいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました!